みなさんが従業員50名規模の中小不動産事業者を考えるとき、どんな部署があると想像するでしょうか? MODERN STANDARDには企画開発室という部署がありまして、この部署を開設した当時はまだ10名前後の企業でしたが、当時のメンバーにその名前を失笑されました。名前が大袈裟なのと、規模の割に聞き慣れない部署だったからだろうと思いますが、マーケティング全般を担うこの企画開発室がMODERN STANDARDの心臓部分としてここまでの企業成長を牽引して来てくれたのは確かです。

小さな企業では営業部署は花形ですし、売上を上げてるという自負があるのは非常に望ましいことですが、当時は何やら分からん名前の部署ができて、生産部門を担う営業員の中には、企画開発室の人員を見下すような営業マン(営業自慢だった彼も独立して経営側に立ち、やっとマーケティングにも関心が持てるようになったみたいですが)もいましたが、今では企画開発室を笑う人は1人もいません。

さて、かれこれ4年以上も前、我が社に川浦剛志という人が入社してきました。面接した時なかなか大層な志を持っていて僕も大変期待をしたんですが、この人、営業がからっきしダメで、もうそれはそれは僕も諦めて途方にくれた第一号のような人でした。そしてお約束のように「もう営業やりたくないから会社を辞めたい」と言い出しましたが、幸運なのか愛されキャラなのか、他の子達が必死で彼を会社に残そうと頑張ってくれました。

しかし「こんな根性ない奴どうやって使うんだ?」という僕の切り返しに、周囲の子達は「なんとか企画開発室で入力事務や雑務をやらせてもらえないか」と言うのですが、コスパ重視の発想だった頃の僕は、そういう非生産的な人員を非常に冷遇する傾向があり「置いてやってもいいが、いつでもクビにするぞ」くらいの脅しをかけていたと思います。

さてさてそんな川浦くん、実は好奇心旺盛で飽き性と言う典型的な「惜しい人」だったんですが、まあそこは僕も同じ穴のムジナというか、彼がある時SEOに興味があると言い出したことがあって、それまで僕のSEO技術は門外不出の一子相伝、自分一代限りの職人芸として封印するつもりだったのに、自分の若い頃のような「惜しい人」に見えた彼に、ついついSEOを教えてしまったところから企画開発室の歴史は変わり始めます。

教えるからには徹底指導、ではなくて「この壁越えたら教えてやる」と彼に出した課題は「Googleペナルティの解除」というなかなかの難題でした。正直やわな企業なら、自社サイトがGoogleペナルティに陥ったら諦めてサイトを作り直すレベルです。でも実は「ペナルティを解除できればSEOに精通できる」という側面もあるのですが、前述の通り恐ろしい作業量と計画性、根気と集中力を長期間維持継続させる必要があるのです。

僕もやれるもんならやってみろと思いながらも、素人の彼だけでは厳しいだろうから、コンサルを付けて指導してもらいながら地道に理解させ、最終判断を僕とすり合わせることで、なぜ師匠はそのように判断するのかを伝承していきました。正直逆の立場なら僕は逃げます。まず相手が僕の時点で逃げるし、さらに本当に報われる作業かどうかどこにも保証がないわけで、僕なら確実に逃げます。

ところがこの川浦くん、逃げる場所がなかったのか逃げ方がわからなかったのか、それとも本当にこのコンサルでさえ悶絶するような途方もない作業を楽しめる変態...いや、天才だったのかはわかりませんが、8ヶ月に及ぶ気も触れるような作業をたった1人でやりきってしまいました。そしてとうとうGoogle様からお許しをいただくことになり、晴れて企画開発室室長の免許皆伝を受けることになったのです。


その後はメキメキと成長し、固い頭をフル回転させながら、会話も困難なぶっ飛んだ真っ直ぐさで企画開発室を牽引し、今ではエンジニアも従えて外部ベンダとも協働しながら、立派にマーケティングディレクターとしてマーケターの階段を昇りつつあります。そして何より営業部も認める幹部となって、組織の心臓部分の問題と毎日向き合ってくれています。

彼に出会うまで、人材のダイバーシティ(多様性)になんてこれっぽっちの興味もなかった僕が人には必ず良いところがあるから見極めて登用せよなんて立派なことが口から出せるようになったのは、彼のような人材が生まれてくれたからでしかありません。そして何より彼の感性は不器用ながら正直で、真っ直ぐに真正面を向いていて、諦めない根性を持ってるのは頼もしい限りです。

きっと彼は僕のことを鬼か悪魔かだと思っているはずですが、僕の目には彼のことがいつも天使のように見えてます(笑)そして今日も彼はMODERN STANDARDのコックピットに座り、お客様と会うことがなくても、誰にも気づいてもらえなくても、時々僕から投げつけられる理解不能な無理難題から現実逃避しながらも、企画開発室室長として顧客満足度と向き合う仕事を、泥臭く続けてくれているはずです。

松田