当社には人事部長の中島誠という人がいます。この人、生まれは九州福岡、前職は居酒屋経営という面白い人です。入社面接時になんで居酒屋を閉めたのか聞いたところ、あまりに儲からないから全メニューを半額にしたら売上まで半額になったって言ってたクレイジーなナイスガイです。

彼は入社してきて暫く芽が出ませんでした。こちらが指示出してもぼーっと考えて、どうすればいいか分からなくなると途端に動きを止める、なにせ分かってなくても分かったふりするし、頭固くて要領悪い、それはそれは僕のカミナリがなんども落っこちてきた「避雷針」みたいな人でした。

ところが先日ご紹介した佐藤くんの面倒見る店舗に異動した途端、佐藤師匠の厳しい指導のもと、メキメキ実力をつけておしゃれになり、高そうな時計つけて錦糸町に引越した強者です。なぜ錦糸町に引越したのかはぜひ彼に直接会う機会があれば聞いてみてください。ろくな理由ではないと思いますが(笑)

そんな絶頂期の彼を不幸が待ち受けます。会社の幹部が離職し、誰も手が回らなくなった店舗を大抜擢で任すことになりました。言うのはかんたんですが、うちの会社の一般業務は尋常じゃないボリュームで、それを店舗責任者でこなすのはそこそこファンキーです。事務処理能力で言えば一級品のスキルが必要になることでした。

ですが彼はくじけません。決して器用でもなければ、前述の通りどちらかと言えば要領が悪いタイプです。それはそれはしんどかったと思いますが、並々ならぬ強いハートと決してくじけない鉄の精神で、何度倒れても立ち上がってきます。まさに失敗と友だちになったくらいのぶっ飛んだ精神力で前進を続けてくれました。

極めつけは幹部勉強会でした。幹部だけを集めて会社が会員権を保有するホテルで深夜に及ぶまでコンサルタントを呼んで幹部研修をします。ところが彼はピカイチに成績が悪い人でした。まず殆ど答えられない。ですが彼は前回わからなかったところを徹底的に復習し、いつの間にか幹部内でも優秀な人材になりました。

一言で言えば、全く期待されたことがないのに、そこから這い上がってきた本物中のホンモノだと言えます。一番会社がしんどいときを全くブレることなく駆け抜けたアイアンマンだと思われます。店長になる以前は分かりませんが、幹部に昇格後はおそらく誰も彼の口から弱音を聞いたことはないんじゃないでしょうか。 

そしてさらなる不幸が彼を襲います。さらに先輩だった幹部陣が会社を離脱します。そのときの彼は佐藤くんに勝るとも劣らないサムライでした。眉毛一つ動かすことなく事後処理に走ります。 そこから始める新体制でのスタートをきるために、社内を東奔西走しながら駆け巡ります。まるでドイツ軍の参謀みたいな動きでした。

とうとう彼は人事部長に抜擢されます。そこからは採用から育成までを担当し、社長より社長らしいアイアンハートを持つ人事部長が誕生します。人事部の仕事で一番つらいのは、育てた部下が離職することでしょうが、彼は泣きながらでも会社の出すシビアに感じる方針に従う、鬼参謀と呼ぶにふさわしいひとになりました。

もちろん人情味に厚い人ですが、長らく周囲からは誤解されていたほど、普段はあまり感情を表に出さない人だったのですが、ここ最近ではとってもハートフルな人になってきてるようです。部下を守るためならどこまでも鬼になる、そんな一面も持っている人です。今でも失敗は多いかもしれませんが、やっぱりくじけません(笑)

今では佐藤くんの女房役として社内の両部長としてバッテリーを組むまでに成長してくれました。強いて言うなら早く結婚して子供の顔でも見せてほしいくらいですが、どうもそっちにまで手が回らないようで、子供の面倒を見るように新人や手のかかる部下の面倒を嬉しそうに見て回ってくれてるので、まあいいかなと思ってます。

山本五十六が言いました。

苦しいこともあるだろう。
言いたいこともあるだろう。
不満なこともあるだろう。
腹の立つこともあるだろう。
泣きたいこともあるだろう。
これらをじっとこらえていくのが男の修行である。

どうやら彼は、まだまだ男の修行を続けてくれているようです。感謝。いや、多謝。



松田