1年と少し前、よく相談している同業者の友人に、僕と僕の会社のことを「たけし軍団」だと表現されたことがある。良い面も悪い面ももちろんある表現だけど、その時の僕はたけし軍団であることが嫌で嫌で仕方がなかった。実際には殆どの中小企業が、大なり小なりたけし軍団的な要素があるもんだろうけど、当時は嫌で仕方なかった。

まして自分が武さんのような人物であるとも思わないし、もちろん比喩的な意味で言ってるので、その集団における北野武を指していることはわかっていたんだけど、それでも嫌だった。その友人が所属していた企業は不動産総合事業を経営していて、たけし軍団というよりタレント豊富な吉本興業といったかんじだった。

その時の僕が嫌がっているだけで、実際にはたけし軍団にも武さんの元を離れて政治家になった"東国原"元知事や、俳優や放送作家として活躍されている"ダンカン"さんのような才能豊かな人も大勢いる。そういえばモダンスタンダードも成長過程で創業メンバーが卒業していって、個性豊かに活躍しているのもそれに近い気はする。

でもどうしても、武さんのようなうつわの大きな人には成りきれず、ビジネスマンとして吉本興業のような所属芸人を増やしていきたいと思うようになり、またその養成所であるNSCのようなものも作りたいと考えるようになった。今にして思えば、このNSCに該当する新人養成所を設置して、教育担当を育てたことが今の土台になる。

賃貸仲介だけに限らず、SEO、財務、不動産売買、収益事業とタレントを増やしていくには、ダイバーシティ(多様性)を受け入れる組織とその文化を作らないといけないから、まず何より社長がタレントであることを捨てて、ビジネスマンもしくはやっぱり経営者になることから始めるしかなかった。そういう意味ではちょうどよい転機になったと思うし今でも気づかせてくれた友人への感謝は大きい。

でも本当のところは、たけし軍団でも吉本興業でもなく、単純に会社のブランドと認知度が独り歩きしていって、当然社長自身もタレントであることの限界を感じるようになり、個性豊かなたけし軍団はいつしかブランドの確立とともにそれぞれの個性へと自立歩行していくしかなかったのかもしれない。

今、この会社を支えてくれる若い人たちは、僕ではなく会社を大事にしてくれて、まずは顧客があっての事業だということを芯から理解してくれようと懸命になってくれる。貧乏のどん底で明日の成功を追い求めていたたけし軍団ではなく、ファンと組織のブランドを重要視してくれる人たちが増えた。

結局のところそういう人が増えたことで、僕のたけし軍団は解散したんだと思う。オフィス北野は決して悪いわけじゃなく、誰しもにとって遠い懐かしい場所だと思うし、あそこが全ての出発地点だったことは間違いない。だけども個性で動くことから集団で動くことをブランドとして、ファンの期待に応えるには組織が必要になる。

その狭間では感情の揺れ動きは大きいが、最後は経営者の信念と力を貸してくれる人(創業メンバー贔屓のない)をどこまで大事にできたかに尽きる。あと少しでモダンスタンダード第7期は終了するけど、まずは10年企業を目指して残り3年間を大事に大事に進めていきたい、そう思うようになりましたとさ。

松田