ここ最近こだわり始めてるのが会議の質という部分です。会議っていうのは意思決定の場だと定義されていいと思いますが、実際に効率的に意思決定される会議はなかなか難しいですよね。その理由のひとつとして、適任のファシリテーターがいないという点です。ファシリテーションとは会議の場での合意形成や相互理解をサポートする役割なのですが、これはなかなか仲間同士でできるもんじゃないです。どこか割りきった進行と、フェアなジャッジメント、摩擦を避けて均衡を保つスキルが必要とされます。

仮にチームや組織のリーダーの中にファシリテーションのスキルがある人がいたとしても、普段の職位が高い人だと、メンバーの先入観から、ファシリテーションの質を低下させたりすることがあります。なのでこれは、本来外部の人(ではなくとも出来る限り本題に直接関係のない人)にやってもらうと、質が向上し参加者から優れた意見が飛び出しやすいものだと感じています。ですが、なかなかそういった事のできる最適な人は少ないもので、まして中小企業ともなると、スキル面では社長も含めて決して高くはないのが普通だと思います。

といった悩みを抱える中、つい先日、知人のすすめで"すごい会議"なるものを見学に行きました。どこがどうすごいかというと、まあ前述したとおり、ファシリテーションの技術に優れている専属のファシリテーターが、制限時間内に参加者のポテンシャルを引き出し、ものすごいスピードと正確性で意思決定を叩きだしていくというものです。

ライザップのおかげで巷に浸透した「コミットメント」をチームで複数設定し、 成果基準と期日を定めて次回会議までにコミットできたかどうかを持ち寄るというのも、意思決定の速度だけではなく、行動の質も向上されるだろうなと、部外者の自分が見ていても非常に感心するところのを多い会議でした。で、それを観てただで帰ってくるわけではありません。早速自分でもできないか試してみようということで、ルールをある程度参考にしながら、自社に持ち帰って幹部会を開催してみました。

------------------------------------------------
【環境設定】
時間は3時間(途中休憩あり)
タイムキーパーを置く
携帯は一切OFF
会議室内は出入り禁止
------------------------------------------------
【会議ルール】
ファシリテーターによる会議進行
「一応」など曖昧な発声はペナルティ
発言は、提案、質問、リクエスト、プッシュ
応答の際は必ず「YES」「NO」で答える
応答には「なぜならば」がワンセット
決定、完了は全員で称賛(呼び声/拍手)
ontime、short、done
決定事項には拍手で。
------------------------------------------------
アジェンダ
会議開催の目的は意思決定とコミット、その期日。

1、幹部個人の能力は高く、有益なポイントに注目することができるのに、意見交換やお互いの関係強化を含め、それを改善する意思決定を遅らせたり、行動に移せないことで、どのくらいのロスが出ているかを認識してもらう。(15分)
2、前回会議の未決定部分を埋める。考えてきたミッションへの質疑応答。意思決定(15分)
3、全体予算を算出して、1〜3月の達成状況と、4〜6月の予算を出す。予算はあくまで人員の成長と採用人数に比例している。さらに予算達成何%を目標設定とするか、を明確にする。(30分)
休憩10分
4、部門とミッションを切り分けて、自分たちの世界観を、まず念頭に置いて現状の報告を行います。その後各担当ごとにその場で予定を立てていく。実現可能かどうかを精査しつつ、担当者と他者で質疑応答を繰り返し意思決定。(60分)
休憩10分
5、各部門ごとに定めた目標設定とその課題について、どのように解決していくかを意思決定、そこから解決へのコミットメントを行い、解決の成果基準を定め、期日を設定していく。(30分)
6、会議の感想。(10分) 
------------------------------------------------

といった流れで実際に会議を終わらせてみましたところ、非常にスッキリした中身で、おびただしい数の意思決定を量産できて、なおかつコミットメントのリストを作成し、それにそって週会議を進行して報告を受ける体制ができてしまいました。これは正直に驚くべき成果だと実感しています。

残念ながら今回は、社長の自分がファシリテーターであったことと、時間を厳守するために、質疑応答をこちらの意思に近い形に誘導してしまった部分があった気がするのが心残りですが。会議時間をもう少し長めに設定できれば、さらに自由闊達でアクティブな意見交換と相互理解、何より深層の部分での合意形成がより図れたのではないかとかんじています。

いずれにせよ、過去自社の中でも、ここまで幹部同士の合意形成と、ミッションへの原点回帰をしながらの会議進行はなかったと思いますし、それが数値と連動していて、なおかつ深い理解の元でコミットのリストを作成して、担当者の選任と権限委譲がすみやかに行われたのは、異例の事態だと思います。 

この内容であれば、月一回であれば数時間割いても全然パフォーマンスアップが期待できるだろうし、逆にたった数時間でこの深さの合意形成ができれば、やらないでいるのとやるのとでは、各部門ごとの進捗速度と正確性に、かなりの差が生まれてしまうだろうと容易に想像できてしまう内容でした。結論から先に言うことと、なぜならばをワンセットにすること、 決定事項への全員での拍手は非常に心理的な部分で理にかなった会議進行の技術だと思われます。

とはいえ会議は最少回数で短時間が理想です。ここから先は、今回のルールで経営会議、幹部会、週会議etcと、さらにファシリテーション技術を全員で共有していって、どんなサイズの会議であっても、進行速度や正確性を担保できる人材を量産していきたいなどと、マニアックに考えてます。

松田