今年も今日で営業日は終了となりますが、どうやら人に助けられ、人が育ち、運にも恵まれ、自分自身もわずかではありますが成長でき、思い残すところのない一年となりそうです。

今年は、年初の抱負に「士魂商才」と掲げたのですが、割と意識し続けたというか、士魂を維持しつつ、商才を発揮するというのは、自分にとってなかなかいいテーマになってくれたと思います。士魂と言いましても武士になるわけじゃなくて、鍛錬、研磨を続ける姿勢が士魂(士道)であって、実際にそんな自己研鑽や鍛錬をするには、何より時間が必要となるので、そのためには理才、つまり商才(食うに困らない)を発揮しなければならんということでして、こんなこと意識して生きてる人はおそらくですが少ないのでしょうが、これ結構自分にはしっくりきました。

清廉であることが必ずしも士道ではなく、卑しく守銭奴のようなものを理才があるというわけではないんですね。ようするに知識習得や自己研鑽(体力的にもです)を含む修行を行うには、お金も時間も必要です。そのためにはそういったことを行うための経済的余裕がなければ実現できないわけですから、これにおいては単純にコストを見直して収益性を強化するという単純明快なロジックを実践できるだけの理才が必要と言うわけです。

これ自体、僕は経営者ですから、自分一人で士魂商才とのたまうことは至極簡単なことだったりするんですが、正直そんな価値観を一人孤高として抱いていても、お山の大将が目的でもない限り、そのうち周囲との温度差を感じながら、楽しくなくなっていくもんです。「理想は気高く、現実は寂しく」となるのが一番の本末転倒ですから、これだけは自分の周囲を囲んでもらう人たちには、同じく士魂商才であってもらわなきゃ、理才なき武人や、卑しいだけの小人だらけとなってしまいます。

とはいえ我々のような中小企業では、全社員に一律平等に士魂商才を推奨できるほどの経済的な余裕は、簡単には準備ができていません。が、どんな手段を使ってでも、幹部陣にだけでも士魂商才となってもらえれば、研鑽に優れ、かつ自立できる人を周囲におけるわけですから、お山の大将を卒業できますし、少なくとも「社長は孤独だ」なんていうありきたりな台詞とは、確実におさらば出来ます。

かといって、幹部陣にだけでも仕事の中で自己研鑽の場を準備できればよいのですが、そんなことさせる企業は、正直あんまりないわけです。何せ企業がまず最初に社員に求めるのは労働生産性ですから、労働に時間を費やすにあたって、自己研鑽などもってのほかというわけですね。そんなことする暇あったら、今以上に労働に時間を費やしなさいという、人と時間の消費を最優先に掲げるほうが、利潤が多いと計算するからです。

ところがこの「人と時間」を投資と考えるとどうなるかというと、人においては今の生産性より未来を向いた自己研鑽を優先させるでしょうし、時間に関してもそのために割く時間を労働時間内に設けるということになるわけです。つまり僕にとっての「士魂商才」とは、幹部たちが自己研鑽してくれるための時間と費用ならいくらでも出しますよっていうスタイルで、周囲も含めた「士魂商才」となるように、「幹部教育」というほどのものではなくとも、投資をしていこうとなったわけです。

ということでまるで無理やりにこじつけたかのような「士魂商才」な一年(笑)ではありましたが、非常に獲るものの大きかった一年でもありました。そこに追い風となるようにGoogle先生からのペナルティの解除という大チャンスが訪れるわけですが、ここに「士魂商才」を掲げた、我が社の精鋭部隊が待ち受けることができたわけであって、その生み出した成果は恐ろしい威力であったと感じています。

まあまあ、世に言う「有終の美」というものでしょうが、一に計画、二に信念、三に行動、四で執念、五の六のその先がやっとこさ成果だと感じながら、来年はどんな抱負を掲げようか、はたまた時には連続で同じ抱負でも面白いかなどと、考えることができるようになった2014年のありがたい年の瀬を迎えつつ、本年は最後の投稿とさせていただこうかと思います。

ますます寒くなりますが、皆様もどうかお体ご自愛のうえ、よいお年をお迎えになられるよう、心からご祈念申し上げるとともに、本年最後のご挨拶とさせていただきます。みなさま誠にありがとうございました。来年も引き続きモダンスタンダードをよろしくお願い申し上げます。

平成26年12月26日
株式会社ModernStandard
代表取締役 松田啓介