我が社には創業からいる古参のメンバーで執行役員営業部長の松家氏と、高級賃貸事業部プロジェクトリーダー兼PM事業部プロジェクトリーダーを担当する原田氏がいます。かれこれ僕のワンマン経営のおかげで、創業メンバーたちとはそんなに会食する頻度も減り、お酒を飲みに出かけるということも徐々に疎遠になってました。

もちろん飲み食いとトレードオフで会議やミーティングの回数はずいぶん増えたわけですが、TOPダウンが多くを占める幹部会だけでは彼らのポテンシャルを引き出すのは難しいので、外部の優秀な人を交えて勉強会形式でいろんな考え方やフレームワークを習得していってもらってはいるわけです。

でもやっぱりそんな堅苦しい会議や勉強会だけでは、彼らの奥底にしまっている大事な部分と心通わせるにはなかなか難しいものがあるわけです。というのも僕自身がどんどんスキルや実績を積み重ねていく中で彼らに自分の考えを伝えるのが面倒くさくなっていた時期があるのが根本的な原因だったと思います。

「考え方くらい自分で身に付けろよ」 とばかりに、距離や溝が空いていこうがお構いなしで、僕はどんどん自分の考えを深堀して、勝手に自分の世界でトライアンドエラーを繰り返し、新しい答えを見つけていくのが楽しくなりすぎてしまい、彼らにそういう自分が身に着けたスキルを伝えていくのが本当に面倒くさく思っていました。

いま彼らは自分たちで考えて計画を立て(もちろん僕はガンガン口出ししますが答えだけは絶対に決めつけたり教えようとはしません。それがルールです。)行動し、失敗を繰り返しながら成長しています。そこで出てくる答えは、紛れもなく僕ではなく彼らの答えですが、裏付けや分析を伴った素晴らしい答えがたくさんあります。

優秀な人は自分の力で起業できるのではないかと考える人はたくさんいると思います。でもそれって今在籍している企業に、自分が成し得たい夢や希望のためのリソースが不足していたり、調達が困難な状況にいる人であれば、そういう行動に移すことは仕方がないことだと思います。ですがまともな脳みそがある人は携わる事業を前にして、リソース内で何もなしえる前に起業したりしません。
(全く違う事業がやりたくなったり、会社の方向とそれたり、また不可抗力であれば別でしょうけどね)

ちなみにですが、今いる会社のリソースを使い切れない人が、どうやったら自分で起業した途端リソースの使い方がうまくなるんでしょうか?目的と手段を明確にし、自分の成し得たい目的とそのための手段を支えるリソースが何であるかのリサーチができない人物が一体どうやって計画を立ててリソースを集めるんですか?その矛盾を抱えた考え方のままでは迷路に入り込んだら自力で脱出は困難でしょうね。

もし仮に脱出できる時が来たとしたら、矛盾を認め計画を立て、リソースを集め始めた時でしょう。
甘えんぼちゃんで現実逃避が好きな人では、永久に不可能だと、、、思うのは僕だけですか?(笑)

現状の当社を支える松家氏と原田氏は、群を抜いた野心家ではないかもしれませんが、リソース内で結果を出すことに対して全うな執着心があります。それは一言でいうと「人の褌で相撲を取る」ということだと思います。今在籍している企業が保有するリソースを最大限に有効活用して、最大限の成果を発揮しようとするのは、もはや優秀な社内起業家であると僕は考えています。

先日、松家氏の誕生会を、原田氏と僕でやりました。他にも優秀で誠実で能力の高い人がたくさんいるにもかかわらず、どうしてもこの3人でやりたかった理由は、彼ら二人が異常な執着心でリソースに対するパフォーマンスにこだわれる、優秀な社内起業家だと思ったからです。今彼らの脳みそに広がる計画は、僕なんかが考えることよりはるか先を進み始めている気がするほどパワフルです。

もちろんなんの前置きもなく、経営サイドが育成コストを惜しんだり、彼ら自身が自分の成長のための学習の時間を惜しんだりと、建設的なリスクテイクがなければ、僕たちは誰一人として成長できていなかったかもしれません。しかし今はたくましく成長しリソースを使いこなそうと必死になれるようになった、無限の可能性を秘めた優秀で心強い幹部になったと思っています。

振り返れば、僕のわがままに賛同してしまった彼らが犠牲にしたものは大きすぎるかもしれません。社長としてそういう彼らの大切なものをすべて守り切れているかと言えば、まだまだ遠く及ばないこともわかります。それでも奴らは今でもこうして日々自力で考えて成長し、自分と会社の目的をリンクさせ、夢と希望を共にしてくれています。

紆余曲折、波乱万丈な社長人生になりましたが、今こうしてみればとてつもない大きな財産を手にしている事実がある以上、ドン突きまで高みを目指して"敢為邁往(かんいまいおう)"していけなければ、どこかで僕は彼らと社長を交代しなきゃいけないかもしれません。それが悔しいと僕自身が思うなら、さらなる学習、さらなる成長を僕自身があきらめるわけにはいかないし、それはとてつもなく幸せな環境だとぼくは思っています。

ただただベラベラと語りつくした誕生日会でしたが、相当高い水準で(もちろん僕ら程度のレベルでですが^^)楽しくスリリングな議論ができたのは、今までの人生で最高にエキサイティングな時間でした。 足場固めっていう壮大な計画をやり遂げるつもりである以上、圧倒的な成果と勝利をお土産にしないと、キレキレ状態の僕自身が気が済みません(笑)

今年の抱負は士魂商才。今のメンバーならガチでぶっちぎれると思います!

松田